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法律のコラム 残業代について【サービス残業って違法なの?】

  • カテゴリー:五反田情報
  • (コラム)

皆様、こんにちは!五反田の桜田通りから一直線に進んだ虎ノ門にて法律事務所を開設している弁護士の磯田直道(いそだなおみち)と申します。ゴタコラムにて身近な法律のお話をさせて頂ければと思います。今回は、ゴタさん弁護士と相談者のヤジロベーに登場してもらい給料をもらう側、サラリーマンの立場から残業代についてお話させて頂ければと思います。宜しくお願いいたします。

 

 

 

【ヤジロベー】兄貴、聞いてくださいよ。
 

 

【ゴタ】なんでえ、しけた面しやがって、いったいぜんたい、どうしたってんだい。
 

 

【ヤジロベー】うちのイカ社長のことですよ。おいら、先月からイカ社長の工場で働いてるんですけど、全然、仕事が終わらないんですよ。
 

 

【ゴタ】イカの干物作ってるあれか。生きてるイカを天日干しにして干物になるまで手で持ってなきゃいけないんだろ。そりゃ、時間かかるよな。
 

 

【ヤジロベー】むちゃくちゃなんですよ。それなのに、あのイカ社長、干物を作り終わるまで帰っちゃダメだって。日が沈んでも機械使わせられて。毎日、残業続きなんですよ。
 

 

【ゴタ】定時はいつなんだい。【ヤジロベー】午後6時です。
 

 

【ゴタ】何時に帰ってるんだい。【ヤジロベー】いつも午前様ですよ。
 

 

【ゴタ】そりゃ、なげえな。で、残業代はもらってんのかい。
 

 

【ヤジロベー】なんすか、それ?いつもちゃんと干物ができるまで帰っちゃダメだって言われてるだけですよ。いわゆるサービス残業ってやつです。
 

 

【ゴタ】あのな、定時は過ぎたけど、業務はまだ終わらないので、会社に少し残って勤務を続けるということは、よくあることかも知れねえし、少しくらいの残業の場合、残業代をつけずに、サービス残業をすることも、よくあることかも知れねえ。
 

 

でもな、サービス残業は法律では認められてねえんだよ。
 

 

法律では、労働時間は休憩時間を除いて週40時間、いち日あたり8時間を超えてはいけないと決められてんだ。会社の都合で残業をやらせた場合、会社は割増賃金を支払う義務がある。通常より25%増し、午後10時から午前5時までの深夜勤務の場合、50%増しだな。割増賃金を払わずに時間外労働を行わせることは違法なんだよ。
 

 

【ヤジロベー】そうなんすか?でも、あのイカ社長、おいらの言う事なんか聞く耳持ちませんよ。
 

 

【ゴタ】だったら、労働基準監督署に相談してみればいい。ただ、労基署を通じて残業代を請求することはできないな。請求したかったら裁判所に訴えるんだ。


 

(※注意※ 労基署の是正勧告措置により事実上、割増賃金の支払いを受けることができる場合もあります。)


 

【ヤジロベー】兄貴、ありがとうございます!


 

【法律まめ知識】


 

・労働時間は休憩時間を除いて週40時間、いち日あたり8時間と定められています(労働基準法32条)。


 

・時間外労働の割増賃金の割増率は25%以上、休日労働は35%以上、深夜労働(午後


 

10時から午前5時まで)も25%以上です(労働基準法37条)。深夜労働は時間外労


 

働と重なるため50%以上となります。


 

・割増賃金を請求するためには使用者側からの業務命令が必要ですが、勤務内容が過大で


 

あり時間内に終わらないにもかかわらず終わらせるようにプレッシャーをかけられてい


 

る場合、黙示の業務命令があると認められる場合が通常です。


 

・これに対して、勤務内容が勤務時間内に当然終わる程度のものであって使用者側からの


 

業務命令がないにもかかわらず、労働者が自主的に残業をしていた場合、割増賃金を請


 

求できるかどうか争いがあります。使用者側が「残業禁止命令」を出しており、かつ、時間外は役職者に引き継ぐように指導していた場合、割増賃金の請求を否定した裁判例もあります。

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